この1年、わたしたちの会社には、新しいメンバーが何人も増えました。
そこで目の当たりにしたのは、新しい仕組みやこれまで眠っていたプロジェクトがいくつも動き始めていくこと。
どんな計画も、実行する人がいて初めて形になる。
人を起点に、地域の問題解決に臨んでいるのが、株式会社さとゆめです。
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さとゆめは、事業プロデュース会社。「ふるさとの夢をかたちに」をミッションに掲げ、地域に伴走してきました。
今回は、コンサルタントとディレクターの募集です。
どちらも戦略策定、サービス開発、空間デザイン、収支管理、法務対応など。計画から実際のプロジェクトの運用までをまるごと担います。
2つの仕事の違いは、応募資格。コンサルタントは未経験でも大丈夫。ディレクターは、行政コンサルティングやプロジェクトマネジメントなどの経験が必要です。
働く拠点は、東京、中四国、九州、北海道のいずれか。地域のためになることをとことんしたいという想いが何より大切になる仕事です。
渋谷駅から4駅目、地下鉄半蔵門駅で降りる。
緩やかにアップダウンした道を10分ほど歩くと、さとゆめのオフィスに到着した。
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2012年に創業したさとゆめ。
代表の嶋田さんは、もともと行政への政策策定のコンサルティング会社に勤めていた方。
計画を提出して終わってしまうことに違和感を感じ、実行まで支援したいという想いでさとゆめを立ち上げた。
まずは、プロデューサーの小川さんに話を聞く。入社して7年目、東京を拠点に九州などのプロジェクトにも関わっている。
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現在は、東日本伴走チームとして東日本を担当する小川さんが、以前関わっていたプロジェクトの一つが、熊本空港にオープンした「QSHU HUB」。
「熊本空港は一昨年、滞在型空港を目指してリニューアルしたんですね」
「物販とか飲食のお店だけじゃなくて、新しい九州の魅力を発信できるような場所をつくりたいということで、空港の運営会社さんからご相談をいただきました」
はじめはギャラリーショップとしてスタート。
市町村や生産者単位のローカルな商品を展示。より分かりやすく魅力を伝えるために、コンセプトブックやWEBコンテンツの制作もするなどして、お店を運営していった。
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昨年の8月には、「ローカルテインメント」という新コンセプトを掲げてリニューアルオープン。
「ローカル」×「エンターテインメント」を組み合わせたコンセプトで、物販のほか、ものづくりを体験できるWSも開催。五感を通して、九州地域の良さを味わうことができるようになった。
新しく九州エリアに関わる人に任せたい役割のひとつは、QSHU HUBの事業をさらに活発にすること。
「店舗や事業って、やっぱりつくったあとのほうが大変なんです。ここから各地域に人や経済効果を生み出していくために、どのような施策が必要か。QSHU HUBの店長さんや、メンバーと一緒に考えていってもらえたらうれしいです」
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九州に常駐するスタッフのもうひとつの大きな役割は、各自治体と良い関係性をつくり、問題解決に臨んでいくこと。
たとえば、QSHU HUBをきっかけに関わることになったのが、熊本県の球磨村(くまむら)。
峡谷に集落が集まっている独特の地形で、3億年前の地層を見ることもできるなど、長い時を積み重ねた自然に触れることができる村。
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ただ、令和2年の豪雨による被害が大きく、人口が減少傾向にあった。
これまでの観光をさらに盛り上げたいという、まちの方の強い想いもあり、さとゆめとしてもお手伝いを始めることに。
計画が事業になるまで、5年ほどかかることもあるという。
ここまで密に長い期間伴走してくれるなんて、地域の人は心強いですね。
「でも所詮、私たちって部外者なんですね。外の人が関わることは必要だと思うんですけど、その地域に、365日24時間生きてる人が、一番覚悟を持たなきゃいけなくて」
「変わるって痛みを伴うし、動き始めたほうがつらくなることもたくさんあるんです。私たちも全力でやりますし。そのときに、この人だったら最後まで一緒にやりたいって思えるかどうか。そういう人が現れると、やろうってなります」
球磨村の場合は、役場のとある職員さん。
「プレゼン資料や、球磨村のPR動画もつくられていて。災害を起こす球磨村の地形も全て受け入れて、球磨村にある魅力や可能性を信じていらっしゃるんです。球磨村の素晴らしさを伝えたいと本気で思っている」
「それだけ熱意がある人に出会ったら、やるしかないですよね」
想いのある人を起点にプロデュースしているさとゆめ。
一昨年の9月に入社した河内さんは、中四国エリアを中心に働いているディレクター。
広島在住とのことで、今回はオンラインでつないでもらう。
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「地域事業を立ち上げるときは、地域と同じ目線に立ち、想いを共有することが重要だと思っています」
たとえば、山梨県小菅村の分散型ホテル「NIPPONIA 小菅 源流の村」。
ここでは、ホテルで提供する料理に地域で採れた食材を使用したり、村民に協力してもらいながら、村の案内ツアーや野菜の収穫体験などを開催したり。地域をまるごとホテルに見立てて運営をしている。
地域の人も主体的に関われる土壌を整えることで、みんなが地域の未来を語れる状態をつくり上げてきた。
「大人だけでなく、子どももチャレンジし、ワクワクするような雰囲気をつくりあげていくことも重要だと思っていて。広島県安芸高田市の総合計画づくりでは、高校生と一緒に取り組む機会もあるんです」
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通常、ワークショップやアンケート調査の結果を活用してつくりあげていく総合計画。
安芸高田市では、総合計画の策定を受託した時点で、何回も地元の高校に出向き、高校生と一緒に地域の魅力化事業を考え、次世代を担う子どもたちの想いも掘り起こした。
今後は高校生と一緒に実行委員会を立ち上げ、地域まるごとホテルの実現に向けてサポートを続けていく。
「自分たちで事業を立ち上げて運営してきたノウハウがあるからこそ、計画策定の先を見据えて、実効性が担保された支援が出来ると思っています」
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河内さんはもともと、建設コンサルタントで都市計画に関わっていた。
ただ、提案して終わり、ということが多かったという。
「実際に動き出すところまでやっていきたいなと思い、さとゆめに入社しました」
さとゆめの働き方は、基本的にフルリモート。週の半分を出張に費やすことも多い。
「大変に思われるかもしれないですが、わたしはすごくポジティブに捉えていて。論理的に完璧な計画でも、地域の人との関係性ができていないと、形にはならない。だからこそ、地域に足を運ぶことが大事だと思うんです」
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地域によっては、お酒の席に招かれることもある。仕事だけの関わりよりも、1対1での関係を築いていける人がいいと思う。
最近は、さとゆめが立ち上げたプロジェクトも認知され、華やかな面も見えるようになってきているが、根っこは変わらず、とことん伴走すること。
地域住民の意見や考えを知るために、200人の地域住民の方にアンケートをすることも。さらに、アンケート結果を地道にパソコンに打ち込み、資料をつくる仕事もある。
そんな黒子のような一面も忘れないでほしい、とのこと。
まったくの未経験から活躍しているのが、入社3年目の道浦さん。大手家具メーカーの法人営業をしていて、現在は東京を拠点にディレクターとして働いている。
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「計画策定については、これまでさとゆめがやってきた他の事例を参考にして。いつどのような議論が行われて計画が決まっていったのか。過程も重要視しながら、この地域ではどう進めていくのが良いのかを自分なりに考えて、まずは進めていきました」
コンサルティングに必要な知識を得るために本を買ってみたり、インターネットで調べてみたり。分からないことは周りの上司や先輩に聞ける環境ではありつつ、自主的に考えて進めていく姿勢は大切。
道浦さんがメインで関わってきたのは、林野庁の森林サービス産業の事務局。
健康・観光・教育など、森林空間を使って地域で新しいサービスを生み出していく事業だ。
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長野県木曽町のウェルネスツーリズム事業をはじめ、宮崎県串間市や、沖縄県今帰仁村でも事業を展開中。森林空間を活用した体験コンテンツやツアーの開発、ガイド育成など、サービスインに向けて動いているところ。
「今帰仁村の場合は、観光協会さんからご相談をいただきました。古宇利島や世界遺産にも認定されている今帰仁城跡など、有名な観光地がある一方で、『素通り観光』が課題となっている」
そこで、地域資源を活かして、滞在日数を増やしてもらうためのコンテンツ開発をすることになった。
注目したのは、企業の人材育成やウェルビーイング経営といった、キーワード。
今帰仁村には、内地と植生の異なるジャングルのような森、遠浅でエメラルドブルーの澄んだ海、100万年以上の時間を積み重ねてきた琉球石灰岩の地層など。手つかずの自然が多く残っていた。
これらの自然を活かしたセラピーと、昔ながらの今帰仁村の暮らしを掛け合わせた、企業向けのプログラムをつくっていくことに。
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さとゆめが伴走する地域は、まだあまり名前が知られていない地域。サービスを広めていくために、営業も自分たちで行う必要がある。
「実際にサービスを受けることで、企業さんにどのような効果があるのか。潜在的な課題にアプローチするようなマッチングが大切なんですね」
「でも、ツアーが完全に出来上がるまで待っていても、動き出しが鈍くなってしまう。そこで、サービスインしていない段階で、働き方改革EXPOに出展してプロモーションをかけました」
まわりの出展者は企業がほとんど。そのなかでも、企業の人材育成やチームビルディングといった、経営課題に踏み込んだ提案をした道浦さんたち。いくつかの企業や学校法人が興味を持ち、現地を訪れることになった。
並行してガイド育成講座も実施。2024年の12月からは、正式にサービスインして事業のブラッシュアップを続けている。
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「最初は本当に何でもやってみたいっていうマインドを持って、やるのがいいかなって。同時にいくつもの案件を抱えているので、やらなきゃいけないこともさまざま。でも、自分としては泥臭く働いている感覚はなくて」
「地域の人と関わっていくうちに、その人が抱いている想いに触れたり、昔の話をしてくれたり。いろいろ聞いてるうちに私がファンになってしまって。その人のためだったら、本当に何でもやってあげたいって思う。だからこそ、頑張れるんですよね」
想いのある人を起点にして事業をプロデュースするさとゆめ。
その起点はさとゆめで働く人たち。
とことん地域の人に寄り添い、ふるさとの夢をかたちにしていきます。
(2023/01/25 取材 2025/01/16 更新 杉本丞)
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走り続ける
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