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等身大で無限大自分色で輝く100人100色のホテル

「アフェクタスの意味は、『影響を与える』ということ。だから僕は面接するときには、『もしここで働くとしたら、ほかの従業員にどういう影響を与えられると思いますか』って質問するんです」

「人って出会った人の対応で変わると思っていて。能力があるのにこれまで気づかなくても、『あなたってこういうところが得意だよね』って、他人が気づいてあげることで、才能が開花することもある。それを、従業員一人ひとり体感してもらいたい」

そう話すのは、アフェクタス株式会社代表の細井さん。

多国籍な人、多様な文化が集まるまち、東京・新大久保。この百人町というエリアにアフェクタス株式会社が運営する「CEN DIVERSITY HOTEL & CAFÉ」はあります。

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ラテン語の100という単語に由来する「CEN(セン)」は、カフェを併設した日本初のダイバーシティホテル。

“百人百様の生き方を尊重し、人種や国籍、宗教、性別にとらわれず、全ての人に寄り添う”というコンセプトを掲げています。

言葉が通じなくても、文化が違っても、考え方が似ていなくても。お客さん、スタッフ関係なく、誰もがありのままでいられる場所。

今回は、ホテル・カフェスタッフを募集します。主な業務は、ホテルフロントの受付、清掃、カフェ運営の3つ。

お客さんは海外から来る人がほとんど。英語のスキルがあればいいけれど、必須ではありません。大切なのは、とにかくコミュニケーションを諦めないこと。

自分の個性を活かせる場所を探している人、多様な人と関わりを楽しみたい人には、ぜひ読んでほしいです。

 

JR新大久保駅の改札を出ると、駅前は待ち合わせの人たちであふれている。いろんな言語が飛び交っていて、普段と違うエネルギーを感じるなあ。

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飲食店の多い大通りから一歩離れ、細い路地を進む。こちらは、アパートやホテルが並んでいる。

5分ほど歩くと、真っ白な壁の建物を発見。イラストがデザインされ、アーチ状の入り口がある。ここがCEN DIVERSITY HOTEL & CAFÉだ。

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フロントの中から、「こんにちは、ちょっとお待ちくださいね」と声をかけてくれたのは、代表の細井さん。

「今日は満室で。最近は人手が足りなくて、僕もスタッフとして入ることが多いんです」

ホテルの受付対応をしたり、カフェでドリンクをつくったり。人手が必要なところにスッと手を貸していて、一見スタッフのよう。

ひと段落したところで、話を聞く。

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2019年にオープンしたCEN。コロナ禍でも8割稼働していたという。現在は、インバウンドの影響で全44室の部屋が毎日ほぼ満室なんだとか。

いくつものホテルやホステルをプロデュースしてきた細井さん。CENの立ち上げは、「LGBTQをコンセプトにしたホテルをつくりたい」というオーナーからのアイデアがきっかけだった。

細井さん自身も、海外生活の経験から、同じようにLGBTQをコンセプトにしたホテルをつくりたいと考えていたんだそう。

「20年くらい前にカナダに留学していたことがあって。たまたまLGBTQの方が多く住んでいるエリアでした。僕にとっては日常的にコミュニケーションをとるのは当たり前のことで、違和感なく過ごしていたんです」

日本に帰国後、マイノリティを抱える人たちへの理解が海外より遅れていると感じた細井さん。

「当時で言うニューハーフの方が面接に来たんです。いろいろお話をして、すごく人となりがいい方だと感じて。なんでホテルで働きたいんですかって質問すると『自分がこうだから夜の仕事しかできない』って。でもその方はホテルで働いてみたいという気持ちがあった」

「LGBTQの当事者だったり、障がいを持っている方とか。ハンデを感じている人も働ける場所をつくりたいと思いました」

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ここでの仕事は、ホテルやカフェなどの運営経験を積めるいい機会にもなる。実際、これまでに4人のスタッフが独立して自分の店を持つようになった。

「独立するのは歓迎です。ただ、独立したいとなると少し教え方は厳しくなると思います。辞めた人でも連絡は取り合っていて、友だちみたいな関係性になってきました(笑)」

「自分を律している人に来てほしいですね。人が見ている前で頑張って仕事するのって誰でもできるので。新しいこと、新しい場所に行くと絶対に自分の思い通りならないことが起きる。できないことよりも、今あるものでどうするか、ポジティブに考えてほしいですね」

 

次に話を聞いたのは、入社して2年目、チーフマネージャーを担当している錦さん。

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大学在学中からミュージカル俳優として活動していた錦さん。卒業後は、本格的に活動する予定だったものの、コロナ禍に入り公演ができなくなった。一度別の道に進もうと不動産会社に就職。その後、CENへ転職する。

「不動産の会社で働いていたころは、今と社内の雰囲気も全然違っていて。スーツだし、髪色はみんな真っ黒(笑)」

「今考えれば、金髪にしても何も仕事に影響はなかったと思います。ここではどんな髪型でもネイルでも服装でもいい。無駄なしがらみがないし、自分が好きな格好で働けるから、今日も頑張ろうってテンションが上がるんです」

ピシッと決まった制服もいいけれど、特別感というより等身大で。自分らしい姿で働くことで、気持ちも変わるし、それがお客さんに伝わることもある。

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「以前、海外から来たお客さまで、トランスジェンダーのお子さまを連れたご家族がいらっしゃいました。『自国ではマイノリティを感じる場面が多くて、生きづらい』とおっしゃっていて」

「そんななか、安心できる空間があることにすごく感銘を受けてくださって。チェックアウトの際に、涙ながらに話してくださったのは印象深かったですね」

CENというネーミングやホテルのロゴデザインを手がけたデザイナーはLGBTQ当事者でもある。

言葉でなくても、仕草や空間から感じ取れる親しみが安心感につながっているんだろうな。

これから加わる人が担う業務は、ホテルフロントの受付、清掃、カフェ運営の3つ。はじめは、それぞれの業務をまんべんなく担当し、慣れてきたら得意な分野を多く担うこともあるそう。

「誰でも重たいものを運ぶし、月の夜勤回数も偏りがないようにする。業務量は平等になるようにシフトは組んでいて。どんな人でも特別扱いしないのがCENらしさだと感じています」

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スタッフはアルバイト、パートを含め25名ほど。元サッカー選手や元料理人もいれば、おしゃれ好きな新卒の人、ベトナム人のスタッフなどもいる。

さまざまなバックグラウンドを持ちながらも、共通しているのは自分らしさを大切にしていること。

「僕自身、LGBTQの当事者でもあって、ここで働くことでもっと自信を持って自分を活かせるのかなと思っています」

「レインボーがLGBTQの色。一人ひとり色があるという意味で好きなんです。ここにいるとできないことがあってもいいって思えるし、それが個性でその人の色なんですよね。ポジティブに自分自身を捉えられる職場だと思います」

 

「あんまり困ることがなくて。ちょっと大変なことがあっても、どう乗り越えるのか考えることが楽しいんです」

そう話すのは、入社2年目の綾子さん。

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「海外からのお客さまは文化も違うので、こちらが応えられないリクエストがどうしてもあるんです。そんなとき、断る力が必要ですよね」

前職では、航空関係やウェディングでの仕事を経験してきた綾子さん。これまでの経験から、臨機応変さは身についていたけれど、CENでのお客さんとの出会いは特別なものに感じている。

「新宿の何千とあるホテルのなかで、ここを選んでいただいて会える、ということはすごく貴重な瞬間だなって常々思うんです。直接たくさんお話ができるからこそ、少しでも笑顔になってもらってお客さまをお返ししたい」

「困ったことに直面しても、ストレスを感じるよりは、どうしたら目の前のお客さまに満足していただけるかを考えます。英語で対応することも多いので、結果的に語彙力も上がる機会になりますね」

CENに来るお客さんは、英語圏から来る人が9割。英語に触れない日はほとんどない。そのぶん、コミュニケーションの難しさに直面することも多いはず。流暢に話せるスキルがあるに越したことはないけれど、まずは、成長につながると考えて行動してみること。

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「お客さまは一生懸命伝えようとすると待ってくださる方が多くて。ときには翻訳アプリを使いながら、伝える努力や意思を大切にしています」

どんな人と働きたいですか?

「ある意味、癖が強い人も多いので(笑)。自分がしたいことや目標があったほうがいいかな」

「いろんな人がいるぶん、自分の視野がすごく広くなりますね。こういう発想もあるんだ! 面白い! って。季子ちゃんはまさにそうで。自分が気づかなかったところを気づかせてくれて、新しい発想をもたらしてくれる子だなと思います」

 

「社長も綾子さんもよく褒めてくれるし、普段から自分の仕事を見てくれてるなって、とても感じます。やりがいにもなるし、上司や先輩として尊敬できるんです」

そう話すのは、スタッフの季子さん。昨年まで学生のアルバイトとしてCENで働いたのち、昨年の4月に社員として入社した。

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CENを知ったのは、日本仕事百貨で記事を読んだことから。

「コンセプトのダイバーシティだとか、細井社長とマネージャーの人のインタビューを読んで、なんかすごい面白そうな人がいるなって思いました。それで、直感でここに行きたいって応募したんです」

「大学時代のアルバイトはほとんど飲食業でした。そのときに、マニュアル通りの接客や、お客さんと店員っていう関係性に違和感を感じて。そうじゃなくて、人と人として接客をしたいと思ったんです」

学生のころから、一般的な就職活動に捉われず、自分に合う就職先を見つけようと決めていた季子さん。年齢や経歴に関係なく、誰かが誰かの影響を受ける。そんな連鎖が生まれるCENの環境に共感した。

最近では、CENのinstagramの運営や入口にあるカフェメニューの看板のデザインなど、自ら提案して改善することも増えている。

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すると、隣で聞いていた綾子さん。

「ちょっとしたところで、『あ、季子ちゃんがやったんだな』っていうことが垣間見えて。みんなが見やすいように引き継ぎシートを改善しようとか、積極的に動いてくれるんです。私も真似しようって感じることはありますね」

それを聞いた季子さん。

「義務的っていうよりも、こっちのほうがいいかなとか、やりやすいように変えてみようと試してみる感覚です」

「それができるのも、やっぱり楽しめる環境で働けているからだと思います。人間関係のストレスが本当にゼロで、この会社が好きなんです。そう感じてくれる人と働けたらうれしいですね」

 

自分のなかの当たり前や、マイナスだと思っていることは、ほかの人の視点を借りれば案外違って見えるかもしれない。

さまざまな人がいるからこそ感じること、学ぶことは多いはず。

まずは、自分の力を信じて飛び込んでほしいです。

(2024/09/26 取材 大津恵理子)

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